ハイドロポニックス 第38巻 第2号 要約
特集:AIによる病害虫雑草診断アプリのご紹介
谷口 健太郎
日本農薬㈱は2020年に「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリをリリースした。このアプリは25作物の病害虫や雑草をAIが診断し、さらに周辺地域の発生リスクをアラートで知らせるAI予察機能を備えている。完全無料(通信料を除く)で利用でき、農業現場における病害虫雑草の把握や予防の効率化に貢献するツールとして全国で活用されている。本記事では、アプリの特徴や農業現場での活用方法について解説する。
特集:HotaluX AGRI-RED(赤色LED電球)による害虫防除
柳橋 歩
近年、IPMの新たな手段の可能性として「光防除」が注目され始めている。照明専業メーカである当社(HotaluX)が昨年リリースした「HotaluX AGRI-RED(赤色LED電球)」について紹介する。アザミウマ類の忌避と電照の2つの効果をもたらす本製品について、赤色光のメカニズム、および、使い方、さらには、実際どのくらいの効果が出ているのか、昨シーズンのイチゴ圃場での結果を元に報告する。
特集:施設ピーマンにおけるIPMの現地事例
下八川 裕司
高知県の施設ピーマンでは,タバコカスミカメなどの天敵を基幹としたIPMが普及している.定植後,速やかに天敵を放飼すること,複数種の天敵を組み合わせること,温存植物やバンカー植物を利用することで防除効果が安定する.殺虫剤の散布が必要になった場合は,できるだけ天敵に影響のない選択制殺虫剤を散布する.養液栽培では,温存植物やバンカー植物の設置に工夫が必要である.
内外のニュース:園芸学会令和6年度秋季大会報告
木下 あずさ
令和6年度園芸学会秋季大会が11月に琉球大学で実施された.果樹や野菜,花卉,利用の分野から口頭発表195課題,ポスター発表247課題の報告があった.本稿では数多くの新しい技術から養液栽培に関する栽培技術や施肥管理について報告する.
内外のニュース:第97回 日本養液栽培研究会・山梨大会報告
古野 伸典
「施設園芸を通じた社会課題解決に向けた取り組み」をテーマとして、令和6年11月14から15日に第97回日本養液栽培研究会・山梨大会が77名の参加を得て開催された。今回の大会は、研究会、現地見学会にとどまらず、温泉旅館での懇親会や、それに引き続いての夜の座談会(二次会)まで行われ、コロナ感染拡大前に行われていたような充実した内容となった。
内外のニュース:第36回 研修会(基礎編in神奈川)「養液栽培夏の学校」
岩崎 泰永
2024年8月3日(土)から4日(日)にかけて,明治大学生田キャンパス(神奈川県川崎市)にて,「養液栽培夏の学校」基礎編を開催した.2019年以来久しぶりに対面開催が実現した.今回の参加者は17名であり,北海道から熊本までの多様な地域から参加者があった.内訳は生産者,企業,普及センター職員,自営業と様々であり,ほかに明治大学を中心に学生や大学院生の参加(学生は無料)もあり,講義には30名以上が出席した.講師は福田理事長,吉田委員,岩崎の3名が担当した.
事例紹介:ふくい園芸カレッジにおける担い手育成
渡邉 紀子
ふくい園芸カレッジは,平成26年6月に福井県あわら市に開校した福井県における園芸の担い手育成機関であり,「新規就農コース」,「地産地消コース」などのコースがある.福井県内で新規就農を目指す方を対象とした「新規就農コース」には,これまで県内外から321名が入校,そのうち249名が研修を修了し県内で就農・就業している.ふくい園芸カレッジの取り組みを通じて,新規就農者の育成・定着が図られている.
研究の紹介:加熱処理温度の違うサンゴ砂礫培地がミニトマトの生育および果実収量と果実品質に与える影響
坂口 奏代加
本報告では,サンゴ砂礫農法により加熱処理温度の違うサンゴ砂礫培地がミニトマトの生育および果実収量と果実品質に与える影響を調べて,栽培に最適なサンゴ礫の処理温度を提案することを目的とした.調査項目は果実の収量と品質.結果は,75℃で加熱処理したサンゴ砂礫で安定した果実収量と品質を得られた.また,川砂とドロマイトを混合した場合には加熱処理温度に関わらずに,比較的に安定した収穫量を得ることができた.
新製品の紹介:固形塩素剤を使用した原水の塩素供給システム
岡崎 顕治
四国化成ホールディングス㈱は,用水を水道水のようなきれいな水にして使いたいとの一部農家の声に答えて,農業用水や井水向けに,水道水と同レベル程度の濃度の次亜塩素酸(いわゆる塩素)を,簡易的に連続供給できるシステムを発売した.
本システムを採用した農家からは,ディスクフィルターやドリッパーのつまりの改善が報告されている.安定した給液は,養液栽培において重要であり,生産性改善にも寄与すると期待している.
連載:やさしく解説!植物生理学 第十回「遺伝子と育種」①
福田 直也
遺伝子の変異が起こることによって植物の機能や形の変化が生じる.その変化が起こる仕組みと,遺伝子の変化が子孫に伝わる仕組みを解説する.