ハイドロポニックス 第38巻 第1号 要約
巻頭言:研究会2.0へのアップデート
福田 直也
新理事長就任のご挨拶
特集:栽培サポートを基盤とした生産現場に寄り添った研究開発を目指して
佐々木 達也子
トヨタネ(株)は愛知県豊橋市に本社があり,東海4県を中心に,野菜・花きの種苗から農業資材,農業用ハウスまで取り扱う卸・小売業である.養液栽培との関わりは長く,1980年代後半からロックウール栽培システムの紹介,販売を開始し,2000年代からはイチゴ高設栽培システムや,オリジナルの隔離栽培システムである,「ココバッグ栽培システム」の販売を開始している.本稿では,当社が養液栽培システムの販売を行うにあたって,取り組んでいることを紹介する.
特集:OATアグリオ㈱の取り組み IT技術を用いた栽培支援サービス アグリオいちごマスターの開発
三好 規
OATアグリオは,イチゴの栽培支援サービス「アグリオいちごマスター」を2022年より提供を開始した.このサービスのコアテクノロジーが生育の自動診断で,定点カメラの画像情報,環境情報から,独自開発した自動診断AIが生育の良し悪しを判断する.
特集:肥料における日本と海外の比較について
大野 勝也
肥料における日本と海外の比較について市場規模やバイオスティミュラントについて記載した.
特集:施設園芸の好循環を支援するダブルエム社の取り組み
中村 哲也
施設園芸の好循環を生み出すには,どのような要素があるかを紐解きつつ,今後の給液システムの在り方を模索し,提言する.国内で唯一,光合成モデルや蒸散,熱収支モデルを環境制御システムに取り入れ,天窓や側窓,暖房機,CO2発生機などのアクチュエーターを制御する温室環境コントローラ(DM-ONE)を開発・販売しているダブルエム社が語る.どのように施設園芸を捉えているか,養液栽培システムの現在の取組み,今後の展望を語る.
内外のニュース:第96回 日本養液栽培研究会・千葉大会報告
青野 圭花
令和6年5月31日に第96回日本養液栽培研究会・千葉大会および2024年度総会が,千葉大学園芸学部・松戸キャンパスにて対面形式で開催された.総会は,2023年度事業および決算報告,2024年度事業および予算計画等が議題とされた.引き続き,千葉大会が開催された.研究会テーマ「データが語る企業の養液栽培・植物工場関連技術」のもと,口頭発表とポスター発表が行われ,各発表後は積極的な意見交換がなされた.
研究の紹介:イチゴ果実温制御による収穫日のコントロール-収穫ピークの自在制御の実現に向けて
河崎 靖
イチゴの収穫ピークの自在制御を目指して,筆者らが取り組んでいる果実温制御について紹介する.イチゴの果実を局所的に加温・冷却することで,収穫のピークを前進・後退させることに成功した.この技術を用いることで,ある程度任意の期日に収穫ピークを移動させることが可能である.今後はより現場に導入しやすいよう技術の改良を行っていく予定である.
新製品の紹介:ハウスカオンキHK30型の紹介
池田 伸
温風暖房機やヒートポンプの製造・販売を行っているネポン㈱では,新機種として施設園芸用温風暖房機ハウスカオンキHK30型を発売した.その概要や特徴について紹介する.「機械をラクに使いこなす体験を届けること」をコンセプトとしている.送風機をDCモータ化して消費電力を約8~15%削減した点と,通信機能を標準搭載として専用スマホアプリで簡易モニタリング・制御機能が利用できる点が特徴.
連載:やさしく解説!植物生理学 第九回「“遺伝子”の働き②」
福田 直也
生物の細胞の中で,働く遺伝子を決める仕組みについて概説する.
質疑応答:培養液分析のデータを解釈するポイントを教えてください.
中村 祥介
「培養液分析のデータを解釈するポイントを教えてください.」との質問に対する解答を解説した.