日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第36巻 第2号 要約

特集:養液栽培での天敵利用 -現状と今後の展望-

田上 陽介

養液栽培において,害虫の発生も問題となり,これまで様々な化学農薬が使われてきた.しかしこれからは,化学農薬に依存しない害虫防除として,天敵の利用が重要となってきている.そこで本稿では.養液栽培における天敵の利用に焦点を絞り,化学農薬の問題点,養液栽培での害虫管理の現状,天敵の利用,維持,注意点,土着天敵の利用について,その現状と今後の展望について解説する.

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特集:タバコカスミカメの生産現場導入事例紹介

船戸 淳

稲沢市ぬかや農園トマト圃場での天敵製剤バコトップの導入事例を紹介する.近年、薬剤抵抗性の発達したコナジラミ類の被害が拡大しており,天敵製剤による防除を試みた.

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特集:天敵製品スパスパトリオを利用した施設栽培イチゴでのハダニ類防除のポイント

市川 大輔

イチゴのハダニ類を効果的に抑制できる天敵製品による防除のポイントを説明する。2種の天敵および専用の混用放飼器を組み合わせた製品「スパスパトリオ」は全国の施設栽培イチゴで広く利用されている.本稿では,スパスパトリオの特徴やイチゴのハダニ類に対する効果的な利用方法について紹介する.

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内外のニュース:園芸学会令和4年度秋季大会報告

菊地 郁

園芸学会令和4年度秋季大会の様子および会員が興味を持ちそうな発表の報告

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事例紹介:千葉県水耕小ネギ生産

篠崎 正義

千葉県内の小ネギの主力産地である、長生郡白子町の水耕設立組合の特色及び事例紹介。設立当初は先鋭的だった水耕栽培施設の取り組みと、設立から40年以上経過した昨今の課題について。地理的特徴に起因する課題に対してこれまで長年試行錯誤してきた栽培や施設管理、雇用等の取組みに加えて、自主努力だけではまかない切れない外部環境の変化や経年を原因とした新たな課題に直面している現状について紹介する。

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研究の紹介:ナス栽培の簡略化を目指した単為結果品種を用いたつる下ろし栽培への取組み

金子 壮

宮城県では県北部の大崎地区を中心に古くからナス栽培が行われてきた.その多くは露地栽培が主であるものの,一部では鉄骨ハウスやパイプハウスによるRW栽培や養液土耕栽培もおこなわれている.一方,他の品目と同様に生産者の高齢化や労力の不足といった問題を抱えていることに加え,切り戻し等の整枝や整葉作業が複雑なため,限られた人しかこれらの作業ができないことも多く,規模拡大や生産量の維持の妨げとなっている.そこで,宮城県農業・園芸総合研究所では,これらのナス栽培の簡略化を目指し,①単為結果品種,②仕立て方(つる下し栽培)と栽植密度,③誘引方法(器具)の検討等を行っており,その取組みについて紹介する.

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新製品の紹介:中小規模施設向け複合環境制御装置 YoshiMax・FARMATE

竹林 一彦

低コストで導入可能な生産性の高い栽培システムとその運用技術確立すべく、制御機を利用しながら制御機能が学習可能な機器を基本的なコンセプトに完成した製品で、パソコンでの詳細な設定データを反映して動作する通信モードと制御機独自の設定で動作する自立モードの両立を実現し、導入後の運用で苦闘しない制御機となっている.

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新製品の紹介:潜在的な鉄欠乏を改善する2価鉄供給材「鉄力あくあ®F10」

鈴木 基史

愛知製鋼㈱はトヨタグループの鉄鋼会社である.特殊鋼の技術から派生した「鉄力あくあ®」(図2)は植物が吸収しやすい「2価鉄」を供給する液体資材である.鉄は葉緑素の合成に必要であり不足すると葉が白くなる症状を呈するが,窒素同化やエネルギー生産にも関わっており,欠乏症として見ていなくても潜在的な鉄欠乏が生じることがある. 鉄欠乏は低温・低日照の環境ストレスによって発生することがあり,養液栽培においても従来の鉄材だけでは十分な鉄供給が行えないことがある.鉄力あくあ®は2価鉄を配合するだけでなく,環境ストレス時に鉄吸収の力を上げる働きを持っている.本稿では,そのメカニズムについて解説する.

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