用語解説
養液栽培とは?
- 土を使わずに、肥料を水に溶かした液(培養液)によって作物を栽培する栽培法。
- 長所としては、土壌病害や連作障害を回避できること、耕起、畝立、土寄せ、施肥、除草などの土耕に必要な作業が省略できること、給液や施肥管理が自動化され、大規模化が容易になること、肥料や水の利用効率が向上すること、などが挙げられる。
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水耕(湛液型水耕)
固形培地耕(ロックウール耕)
養液栽培の方式には、培地を使わずに培養液の中や表面で根が育つ「水耕」と、土の替わりとなる様々な培地に作物を定植する「固形培地耕」、根に培養液を霧状に噴霧する「噴霧耕」がある。水耕には、培養液を栽培ベッドにためる湛液型水耕、培養液を浅い水深で流すNFTをはじめ、毛管水耕、パッシブ水耕などの方式がある。固形培地の主流はロックウールであり、その他にヤシ殻、杉バーク、ピートモス、砂、礫などがある。必要な装置の構成は、水耕では、栽培ベッド、培養液タンク、給液ポンプ、給排水管である。固形培地耕では、これらに加えて培地および点滴ノズルなどが必要である。培養液は、ECセンサと定量ポンプなどを用いて自動的に濃厚原液から希釈調製され、タイマーや日射センサなどにより自動給液される。
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培養液の与え方:循環式と非循環式
培養液の与え方には「循環式」と「非循環式」の2種類がある。NFTや湛液水耕では培養液はベッドとタンクの間を循環するが、固形培地耕では、作物に吸収されなかった余剰培養液をそのまま廃棄する、かけ流し式が多い。循環式の短所は、培養液中の養分組成の変化による生育への影響、病害が侵入すると拡大しやすい点などである。非循環式では、これらの心配は少ないが、養水分の利用効率の向上や環境保全の面から、固形培地耕においても循環式への移行が進められている。
- 収穫までの期間が短く、回転が速いミツバ、葉ネギ、レタスなどの葉菜類は、NFTや湛液型水耕で栽培される。トマト、イチゴなどの果菜類やバラの栽培では、固形培地耕が多い。
- わが国の養液栽培の施設面積は1,634ha(平成17年)であり、全園芸施設面積(52,209ha)の3%近くまで増加している。近年は、トマトではオランダ型の大規模施設によるロックウール栽培が拡大し、イチゴでは高設ベッドによる固形培地耕の普及が著しい。
- 養液栽培を導入する場合の最も大きな障害は、初期投資額が高い点である。経営規模が小さいわが国の個人生産者では、大規模な施設を導入することは難しい。
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