日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第35巻 第2号 要約

特集:キュウリの養液栽培および環境制御の研究開発に関する現状と課題

東出 忠桐

我が国の野菜の養液栽培実面積は1985haであり、キュウリは3位であるが、全体のわずか4%であり、今後伸びる余地がある。温度のみ制御する慣行区と,細霧やCO2濃度を制御する制御区を設け、3年間・6回の実験を行ったところ、キュウリの収量に最も影響を与えている環境要素は日射であり、ついでCO2濃度や温度の影響もあったが、湿度(飽差)の影響は確認できなかった。キュウリの収量増加には、日射の確保を優先してCO2濃度を高めることが重要である。

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特集:トヨタネ研究農場でのキュウリ養液栽培に関する取り組み

佐々木 達也

当社では養液栽培システム「ココバッグ栽培システム」を販売している。導入作物の大半はトマトであるが、最近ではキュウリ栽培での使用事例や導入を検討されている方からの問合せが増えている。研究農場ではキュウリの養液栽培に関して最適な仕様提案、栽培技術の確立ができるように試験を実施している。試験で得られた培地や肥料成分の違いによる生育への影響や開発した環境制御技術について紹介する。

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特集:地重量センサを利用したキュウリ養液栽培(ヤシガラ培地)における潅水管理指標の作成について

林 和志

キュウリ養液栽培の潅水管理指標および最適な養液処方を作成するため、培地重量センサなどのシステムを用いて栽培を実施した。キュウリの栽培ステージと季節ごとの給液濃度・潅水量・潅水回数に関する指標をどのように作成したかを紹介する。

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内外のニュース:第91回日本養液栽培研究会・佐賀大会

田川 愛

令和3年11月9日に,第91回日本養液栽培研究会・佐賀大会を開催した.本大会では「北部九州における施設園芸産地のさらなる発展を目指して」をテーマとし,トマト,キュウリ,ナスの大規模化・スマート化による園芸産地拡大,イチゴの高品質生産について4名の講師に講演いただいた.また,佐賀県内の取り組みとして,「ゆめファーム全農SAGA」と「JA さがみどり地区トレーニングファーム」の紹介動画を養液栽培研究会HPで公開した.

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内外のニュース:日本養液栽培研究会オンラインフォーラム(第1 〜4 回)

鶴山 浄真

日本養液栽培研究会では,これまで以上に会員相互のコミュニケーションを活発にして,生産現場の問題を解決したり,新しい技術や品種,研究成果などの情報を交換したりすることを目的とし,テーマ別のオンラインフォーラムを立ち上げることとした.本稿では,オンラインフォーラムの概要および第1回(2021年8月)から第4回(2021年12月)までの実施状況について報告する.

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内外のニュース:令和3年度園芸学会秋季大会(9月)

杉本 雄大

令和3年9月11日(土)から12日(日)にかけて岐阜大学・オンラインにて園芸学会令和3年度秋季大会が開催された.本大会では口頭発表,ポスター発表および公開シンポジウムが開催された.企業や研究機関が行った多くの最新の研究成果が発表され,農業分野の研究における取り組みについて新しい知見を得た.本稿では,会員の皆様にとって有益な作物の品質管理や栽培方法に関する発表を中心に報告する.

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事例紹介:人工光型植物工場でのイチゴ生産

マハルジャン・ガウリ

イチゴ栽培において、日本の気候や品種に適するスマート補光法の確立を目的とし,LED照明を統合環境制御システムと日射センサーを連動させた補光にてイチゴの収量・品質を調査し、下記の結果を得た.1) 光強度80µmol/m2/s,合計1348照射時間補光の場合、積算収量10.1kg/m2(10.1t/10a)得られ、冬の収量が大幅に増えることが分かった.2) 品質に関して、補光が多い期間は平均果重が約16g維持でき、糖度は(Brix)8~10度の範囲にあり、補光量が多い冬季は9度以上であった..

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研究の紹介:高品質葉菜類生産システムの開発

竹葉 剛

葉菜類の品質として、食味、抗酸化成分量、葉酸含量を指標として、栽培条件を検討した結果、いずれの指標でも露地野菜、従来の植物工場野菜の品質を大きく上回る栽培方法を見いだした。

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研究の紹介:低カリウムレタスの量的管理法に関する研究

浄閑 正史

本研究は,カリウムおよびナトリウム含量が低いレタスを安定的に生産するための量的管理法について検討した.対照(CK),ナトリウム置換法(LKEC)ならびに量的管理法(LKQM)でレタスを栽培した.その結果,レタスの成育は対照と低カリウムレタスで有意な差が見られたものの,LKECとLKQMの間に有意な差はなかった.一方,レタス中のレタス中のK含量は量処理区で有意な差が無かったのに対し,NaはLKQM区が有意に低いことを示した.

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連載:ホープが語る!未来のハイドロポニックス ㈱誠和入社後の取り組みと日本のパプリカ栽培について

岡田 健二郎

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新製品の紹介:微細な霧で給液を制御する噴霧水耕システムIKEUCHIPonics

岩村 高治

霧のいけうちは,セミドライフォグ噴霧水耕システム「IKEUCHIPonics(イケウチポニックス)」の販売を開始した.この製品は,根圏部の水分環境(ウエット/ドライ)を秒単位で制御できる事を特徴とする.また,気相100%の根圏環境が,根圏の温度や大気組成の多様な制御を可能とする.根圏環境の緻密な制御の実現により,新しい園芸の創出に貢献する事を期待している.

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質疑応答:養液栽培での土壌水分センサの活用方法は?

藤尾 拓也

土壌水分率センサは体積含水率を有効水分へ読みかえる必要がある。水分曲線などを参考にし、養液栽培の場合、日中は多頻度かん水で易有効水分に維持することが良い。

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