日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第28巻 第2号 要約

特集:園芸生産を支える苗生産技術の役割と将来

寺林 敏

園芸生産にとって欠かすことのできない苗生産技術の役割について、その開発の経緯と技術要素について紹介し、植物工場の発展に伴う育苗技術に対する需要はますます高まると予想される。そんな苗生産の現状についての特集を総括している。

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特集:育苗技術の進展と養液栽培での展望

土屋 和

近年、果菜類を中心に苗の購入比率が増加し、その供給元である育苗業を中心として様々な育苗技術が開発されている。閉鎖型苗生産システムを利用したトマトやキュウリ苗の育苗、画像処理による苗選別工程を持つ接ぎ木ロボットの開発、二次育苗施設の高度化による大苗の育苗、トマトの二本仕立て苗や接ぎ木苗等の技術が開発され、養液栽培での利用場面も拡大している。

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特集:養液栽培の普及と苗生産事業

林 總喜

トヨハシ種苗では、1985年より養液栽培システムの販売を開始し、1991年より苗生産事業を始めた。養液栽培の普及により、養液栽培専用の苗の規格が誕生し、さらに栽培技術の発展により苗に求められる要望も変化してきた。養液栽培の普及と弊社の苗事業の取り組みとがどのようにかかわり、発展してきたか振り返り、現在の苗事業の課題についても紹介をした。

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特集:ベルグアース(株)の苗供給の現状

瓦 朋子

近年,施設園芸に対する様々な支援が行われ,同時に自社での苗生産も促されているが,苗生産と栽培は直結しているからこそ苗作りにもきちんとこだわらなければならない.苗作りには収穫物生産と同じくらいの労力と熱意をかける必要がある.本稿では,ベルグアース㈱における苗生産と研究開発の取り組みについてご紹介したい。

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特集:米国での苗生産の現状と課題

久保田 智恵利

花き類、露地野菜、施設野菜向けなど、対象とする品目、マーケットによって大きく異なっている米国の苗生産の最近の動向と問題点などを,写真を交えて簡単に解説した。花き苗業界では栄養繁殖系の苗需要の増大、花き苗生産者による野菜苗生産が、野菜苗業界では苗利用の拡大が興味深い。また園芸業界が共通に抱える人材確保の問題などについても触れた。

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事例紹介:株式会社KiMiDoRiでの葉菜類生産

兼子 まや

完全人工光型植物工場である川内高原農産物生産工場(所在:福島県川内村)ではレタス類・ハーブ類の生産を行っている.LED光源栽培棚240棚と蛍光灯栽培棚240棚を有し,リーフレタス換算にして最大日産8,000株を目標にしている施設である.LED光源での栽培を1年間行ったが,蛍光灯栽培に比べ電気使用量は低いものの,収量や品質に影響が出る場合があり,栽培品目によって光源を変えているのが現状である.

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事例紹介:有限会社青木園芸の挑戦!

青木 良平

昭和56年創業して本年で33年を迎えた有限会社青木園芸では、養液栽培によるハイドランジア切花(アジサイ)生産を行っている。これまでの経営や技術的な課題について紹介し、養液栽培の技術を応用した多品目栽培にも挑戦したいという思いを語っている。

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事例紹介:新しい農業「IT観光農園」を全国展開へ

畔柳 茂樹

ブルーベリーファームおかざきは、養液栽培の導入をはじめ、経営の効率化とお客様満足度を両立したビジネスモデル(わずか年間60日営業で7000人集客)を確立した。このビジネスモデルの手法を伝えるセミナーを開催、延べ300人が参加者し、賛同者が全国に同モデルの農園を展開中。その中には、被災地気仙沼にブルーベリー観光農園を開設する計画にプロデューサーとして参画。農業に新しいムーブメントを起こしている。

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研究の紹介:トマト小葉に発生する形態異常

淨閑 正史

近年、閉鎖型苗生産システムを用いたトマト育苗において、小葉にこぶが発生するとの報告がある。この症状はintumescenceと呼ばれる生理障害で、葉の黄化や部分的な壊死、定植後の生育遅延や収量低下につながる。本事例を観察したところ、閉鎖型苗生産システムでは1日1回の灌液であること、培養液を底面給液すること、発生時期が育苗後期であることから、発生には水ストレスの関与が考えられた。本研究では、トマト育苗時における水ストレスが小葉でのintumescence発生に及ぼす影響について調査したので、その一部を紹介する。

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研究の紹介:養液栽培における二酸化塩素の殺菌・静菌作用の利用

畔上 耕児

二酸化塩素は1ppmの濃度,1分で,水耕栽培養液中のレタス病原細菌3種とトマト青枯病菌に対して殺菌・静菌作用があった.養液栽培が増加し種々の病害が発生して対策に苦慮している現在,二酸化塩素のような剤も防除素材として探索・検討する必要がある.

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研究の紹介:フルーツトマトの生起メカニズムを探る ~塩ストレスとデンプンの甘い関係~

松倉 千昭

近年,消費者の人気が高いフルーツトマトの生起機構について,筆者の研究で得られた最新の知見を紹介する.塩類ストレスは開花後まず果実への糖転流とデンプン蓄積を促し,それらが着色期以降分解されて赤熟果実の糖蓄積促進を誘起する.デンプン生合成律速酵素 ADP-glucose pyrophosphorylase は塩ストレスにより活性化されるが,それらはAgpL1およびAgpS1遺伝子の特異的応答により引き起こされると考えられる.

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連載:オランダトマトの多収化を探る(10)栽植密度や育苗期間によって変わるもの変わらないもの

東出 忠桐

3段栽培トマトを例にして、栽植密度や育苗期間によって何が変わり、何が変わってないかを解説する。面積当たり収量は、栽植密度の高い方が多く、育苗期間が長いほど少ない。育苗期間や栽植密度が異なれば受光量や総乾物生産に違いがあらわれるが、光利用効率は変わっていない。短期栽培では、葉面積の少ない時期の割合が多いため葉面積の違いが受光量に大きく影響し、総乾物生産や収量に違いがあらわれたと考えられる。

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新製品の紹介:水耕栽培用パネル洗浄機 ぴか介

今口 正一

高圧洗浄水を用いたパネル洗浄機を新たに制作し、販売する。ブラシレスのためパネルに傷がつきにく、洗浄力も高い。メインテナンスも楽。コンパクト設計で省スペースで設置できる。

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新製品の紹介:カネコ・スプレーポニック®によるキュウリ養液栽培

芹川 誉

日本におけるキュウリの栽培面積は減少しており,キュウリ栽培を省力化し,安定的に栽培する技術が求められている.「カネコ・スプレーポニック®」は無培地・循環・噴霧式水耕の養液栽培システムであり,根に直接噴霧を行うことでキュウリの生育を促進する.本システムを用いることで,キュウリの年3作が可能となり,キュウリの安定生産および省力化が実現できる.今後,生産者・企業にむけて普及していきたい.

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新製品の紹介:最新型ベンチュリ式養液調製ユニット ネタジェット3G ネタフレックス3G

大野 正智

ネタフィム社のベンチュリ式養液調製ユニット2機種について紹介する.ネタジェット3G,ネタフレックス3Gは,いずれも液肥及びpH調整液を正確かつ効率的に調合し,標準装備の潅液コントローラーNMCプロによって,養液供給を行う.共通の特徴・利点と、メイン配管直接又はバイパス上で養液調製を行うネタジェット3G,並びに希釈混合タンクを備えたネタフレックス3Gの概要を表した.

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新製品の紹介:環境制御コンピュータ『プロファインダーNext80』のご紹介

杵渕 覚

環境計測センサ『プロファインダー』を利用した制御コンピュータ『プロファインダーNext80』を発売する。
日本の環境やハウス設備を前提として、「作物にとって理想的なハウス内環境をつくりたい」という想いをこめた製品である。使いやすいトップ画面やグラフ機能の充実など、「手に取るようなわかりやすい環境制御」を実現している。また、各種の機器設定や動作プログラムは「栽培」を重視している弊社ならではのこだわりをもっている。

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新製品の紹介:ハウス塗布剤の新商品の紹介

石黒 康平

施設園芸大国オランダにて使用されている,各種ハウス塗布剤の紹介.遮光材「Q4シリーズ」は,全面が均一に剥離し遮光率の変化に斑が少ないのが特徴.また,遮光材のように光を遮るのではなく、散乱光へと変化させるコーティング剤「Dフューズ」についても紹介する.この散乱性塗布剤により,ハウス内の光の分布を均一にし,群落上層のストレスを軽減し,中層や下層の光合成を活発にすることで,増収または品質向上が期待できる.

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連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (5)フィトフトラ菌

渡辺 秀樹

第5回は、花き類やネギで被害が発生しているフィトフトラ菌の発生生態や伝染環、防除対策について紹介する。

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