日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第28巻 第1号 要約

特集:総括、環境制御の方向性と統合環境制御の可能性

丸尾 達

我が国の養液栽培/施設園芸/植物工場の発展には、オランダ製環境制御システム以上の性能を有し、小規模施設でも導入可能な安価な環境制御システムの開発が必要不可欠である。優れたIT開発環境を有する我が国のポテンシャルを生かして、合理的で高度な制御が可能な統合環境制御システムの開発に向けることが重要であるが、現在NPO植物工場研究会および千葉大学が中心となって開発している制御システムを中心に紹介する。

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特集:UECSの利用を含めた施設園芸での環境データ活用法

安場 健一郎

近年は、センサによる温室内環境の継続的な測定が容易となってきている。そういった中で、データの収集の仕方、測定するセンサの特性を知っておくと、データの活用方法の幅が広がるであろう。データの活用方法は一つには機器の故障の関知などがある。UECSに準拠すると環境制御にも利用できる可能性がある。これらの環境データの活用方法について紹介する。

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特集:オランダの施設園芸におけるデータとモデルの活用

斉藤 章

オランダの施設園芸ではわが国より高い収量が得られ、その収量が年々増加しているのが特長である。トマトとバラを事例に、まずオランダでの理論的最大収量とその構成要素を説明する。それを達成するために必要なデータ収集とその目的について、栽培環境データの測定、生育調査、栽培シュミレーションソフトについて紹介する。

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特集:国産環境測定・制御システムの開発と太陽光利用型植物工場への応用と実証

嶋本 久二

開発した国産の環境制御装置を活用した太陽光利用型植物工場、(株)ひむか野菜光房における葉菜類の生産実証試験を通じ、リーフレタスの生産に関する企業経営の可能性に関する企業モデルについて評価したので、その内容を紹介する。

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特集:ITを使った農業の見える化の取り組み

小野 聖一朗

 2006年にアクトいちごファームを設立。いちご栽培など経験0からスタートした。
 未経験のため栽培や販路など苦戦。その時に出会ったのが、ITによる見える化(Agri-eye)である。
 2010年の九州大学、岡安先生との出会いから始まるのだが、それは今まで使っていたITと違い栽培に特化していたため、非常に役立った。
 失敗や成功を重ね現在は見える化だけでなく、自動制御も視野に開発を依頼中。
 ITだけでは農業はできないが、省エネ効果や見えない分の把握など補足的使うと良い。

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特集:環境制御装置「DM-ONE」

狩野 敦

従来の環境制御装置の制御方式とは全く異なるコンセプトをもつ環境制御装置「DM-ONE」。この装置は、植物の純光合成を最大化する機能を持ち、蒸散、転流、成長などの植物機能を考慮しながら自動制御することができる。本稿では、この制御装置の特徴について紹介する。

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事例紹介:京丸園(株)のミニ野菜姫シリーズの取り組み

鈴木 厚志

静岡県浜松市で昭和48年より水耕栽培に取り組む農業生産法人。京丸姫シリーズのオリジナルブランドを確立し全国40市場に出荷されている。生産面積3,000坪、総従業員数62名82~17歳(うち障害者21名)多様な人達が働くユニバーサル農園展開中。2013年には農業生産工程管理JGAP認証取得、従業員3名はJGAP指導員。水耕栽培技術を向上させると共に作業行程の機械化を進め農業のシステム化を目指している。

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事例紹介:静大発ベンチャー! (株)静岡アグリビジネス研究所

玉井 大悟

静大発のベンチャー企業として設立した㈱静岡アグリビジネス研究所は2014年10月で5年を迎える.経営規模での栽培には様々な課題も多くあったが,強みである大学で培った技術・ノウハウを生かすことで苦難に立ち向かい解決することを繰り返し,経営は安定した.本稿では,これまでに蓄積したデータを元にトマトのDトレイ栽培の経済性を示した.弊社は新規就農・新規参入者の経営安定に貢献できれるようさらなる技術向上を目指す.

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事例紹介:JA豊橋における養液栽培への取組み

伊藤 政之

JA豊橋では平成12年から部会として養液栽培への取組みを行い、養液栽培技術の確立と栽培システムのラインナップを増加する事によって、平成25年には全栽培面積の50%以上において養液栽培が導入されている。広く普及した養液栽培技術を土台とした環境制御への取組みも広がり、生産基盤が安定することによって出荷量、アイテム数も増加している。今後も出荷量安定と品質向上の両立を目指した栽培を行っていく。

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研究の紹介:暗期における紫外線(UV)照射が薬用植物の薬用成分濃度に及ぼす影響

彦坂 晶子

これまで人工環境下では、明期の照射光に含まれる紫外線(UV)の割合を高めると、野菜の機能性成分や薬用植物の薬用成分が高まるという報告がある。しかし、栽培者が長時間UVを浴びる条件は好ましくない。そこで作業者が不在となる暗期にUV照射を行う試験を行ったところ、ニホンハッカやウラルカンゾウでは、暗期UV照射の方が明期UV照射よりも薬用成分濃度を高める効果があることが明らかとなった。

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研究の紹介:有機質肥料活用型養液栽培の現状

篠原 信

有機質肥料活用型養液栽培は、有機質肥料のみで野菜の栽培を可能にした新しい養液栽培技術である。施肥バランスは園試処方に基づくが、施肥管理は量的管理で行わなければならない。実用技術開発事業での検討により、イチゴ、トマト、ミツバ、ミズナなどの主要な品目について高品質、高収量の栽培が可能になった。無機肥料を主体にし、有機質肥料活用型養液栽培の根部病害抑止効果をうまく導入した「ハイブリッド栽培」も、生産者が取り組みやすい栽培法として期待される。

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研究の紹介:根域ストレスとトマト果実糖度の関係Ⅰ

斎藤 岳士

塩ストレスによりトマト果実が高糖度化する濃縮効果以外の要因の解明のため,トレーサー実験や果実内の糖代謝酵素活性測定の結果を紹介する.

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連載:オランダトマトの多収化を探る(9)接木による日本のトマトの多収化

東出 忠桐

現時点では既存の品種を用いて多収化を目指す必要がある。日本およびオランダのトマト品種を両国の台木品種に接木し、収量や乾物生産への影響を調査したところ、日本品種 “桃太郎ヨーク”では、“桃太郎ヨーク”に接ぎ木した場合よりもオランダ台木品種“マキシフォート”に接ぎ木した方が約30%収量は多かった。また、果実乾物重収量と地上部総乾物生産との間には有意な強い相関がみられ、地上部総乾物生産重と光利用効率との間にも有意な非常に強い相関がみられた。

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新製品の紹介:低コスト炭酸ガスコントローラ『CO2当盤』の開発

大月 裕介

自社研究農場においてトマト長期栽培での炭酸ガス施用試験を行い、ハウス内の炭酸ガス濃度の日変化と炭酸ガス施用による増収効果を確認した。安価な産業用の炭酸ガスセンサーとコントローラを組み合わせ、効率よく効果的な炭酸ガス施用を行うための濃度コントローラを自社で開発。2014年5月現在までに約700台を販売している。

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新製品の紹介:ココ培地およびロックウール培地の養液隔離栽培システム

福田 達也

紹介する養液隔離栽培システムの培地はファンデルクナープ社製のココ培地とロックウール社のグロダンロックウール培地から選択できる.培地の入ったバックをオリジナルの発泡架台ごと直管パイプベンチに乗せる構成で,土壌障害リスクの回避,作業性の改善が期待できる.多様な潅水パターンの設定が可能な潅水制御盤「アクアビート」と給液ユニットを組み合わせることで培地内環境の細かなコントロールが可能になる.

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連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (4)リゾクトニア菌

渡辺 秀樹

第4回は、ミツバやホウレンソウ、花き類等で被害の多いリゾクトニア菌の発生生態や養液栽培における伝染環、防除対策について紹介する。

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