日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第30巻 第2号 要約

特集:肥料の取り扱いについて

切岩 祥和

高度な施設を利用した植物工場。そこで行われていることは栽培であり、その元になっているのが養液栽培による施肥管理である。本稿では施肥管理の初歩となる肥料の取り扱いについて改めて確認することを目的に、肥料の取り扱いに関する8項目の質問に対して回答する方式で概説している。今一度肥料の基本、おさらいしてみてはいかがでしょうか?

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特集:培養液の単肥配合

塚越 覚

配合肥料は取り扱いが非常に容易であるが、原水によって処方箋を変えたり、目的に応じた作物生産を目指して処方箋を考えたりするためには、単肥を取り扱う必要がある。本稿では、単肥配合による培養液作成の基礎として、原水の重炭酸濃度の測定、調節方法を概説し、単肥配合の仕方について説明している。なお、本校の説明は研究会主催の研修会の目玉である。一度研修会にも参加してください。

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特集:培養液の利用を制約する要因を見直そう!

切岩 祥和

培養液は配合肥料を適切に溶かせば使えるようになっている。しかし、時にうまくいかないことがある。本稿では健全な根を育てることを目指し、その制限要因となっている物理性、化学性、生物性のそれぞれについて紹介する。

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特集:主要作物の培養液管理「葉菜類」

福田 直也

葉菜類の培養液管理について概説する.いずれの葉菜類についても,窒素に関してNO3-NとNH4-Nの割合が生育と培養液pHを安定させるポイントである.なお培養液処方については,園試処方の他に,千葉大処方など作物に合わせた処方がある.培養液pHは,いずれも弱酸性に維持しているが,病害抑制のためにpH 5.0以下で管理する場合もある.レタスやホウレンソウなど比較的冷涼な気候に適した野菜が多いことから,暑熱期の液温管理は病害抑制などに有効である.

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特集:主要作物の培養液管理「果菜編」

遠藤 昌伸

果実を収穫対象とする果菜類では,栄養成長を最適化し,生殖成長を最大化する必要があり,また栽培期間が長いため,生育バランスや環境変化に応じた栽培管理や培養液管理の最適化が必要となる.今回は,代表的な果菜類であるトマト・イチゴ・キュウリの培養液管理について紹介する.

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特集:主要作物の培養液管理「花き編」

深山 陽子

花き類では、養液栽培は長期になることが多く、また品種の変遷も激しいため、生育ステージ別、時期別、品種別等の各々の成育状況をみながら判断していく必要がある。今回は、養液栽培でつくられている主要な花きとしてバラ、ガーベラ、カーネーション、キクの培養液管理を紹介する。

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事例紹介:鈴与グループのアグリ事業への取組み ベルファーム㈱「あかでみトマト」栽培事業

江口 陽子

鈴与グループのアグリ事業への取組みを,「あかでみトマト」を栽培するベルファーム株式会社を中心に紹介する.ベルファームは,トマトの養液栽培を独自の栽培方式を中心に周年栽培し,農場管理では,GLOBAL G.A.P.を取得するなど安全・安心を最優先に生産している.また,グループ各社では,「あかでみトマト」の加工食品製造,ホワイトアスパラガス栽培,バイオガスプラント等,事業展開している.

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事例紹介:大分みつば部会40年の取り組みと今後の展望

藍澤 修一

大分みつば部会は平成28年設立40年をむかえた.大分みつば部会はJAおおいた中西部事業部のもと共同選荷,共同販売を行ってきた部会であり,ここには部会員とJAとの様々な試行錯誤があった.今後も大分みつば部会はお客様に高品質なみつばを少しでも多く届けるために新たな改革を続けていく.大分のみつば部会の特徴的な取り組みと,JAおおいた中西部事業部とのGAPの取り組みがGAP普及大賞を受賞したことなどを取り上げる.

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事例紹介:他産業に負けない誇れる一次産業を目指して

若江 俊英

「農業はきつい、休みがない、そして儲からない」と聞くことが多いが、本当だろうか?どんな業種であれ、そう簡単に儲かるものではないはずである。私は他産業から農家に転身した身である。他の産業で当たり前のように行われている生産性向上活動、原価低減活動、省力化の取り組み、これらをきちんと取り組んでいけば、農業も他産業に負けない産業になると感じている。

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研究の紹介:マルドリ方式を利用したカンキツ類の新しい栽培システム

國賀 武

周年マルチ点滴かん水同時施肥法(「マルドリ方式」)はマルチシートと点滴かん水システムとの組み合わせにより,高品質カンキツ果実を生産する栽培法である.マルチシートをカンキツ園地に敷設した場合,樹冠内の光量は裸地と比べて多くなり,樹冠内の光環境が改善される.また敷設によって果実の糖度が高くなると同時に反射に伴う光環境の変化で飛来昆虫数が減る.

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研究の紹介:SIPの成果
トマト多収メカニズムの解明とその実用化技術開発に向けて
-カルシウムの吸収特性と根の活性

中野 明正

SIP戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー,Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)においては,統合オミクス情報を利用したトマトの体系的最適栽培管理技術の開発が実施されている.その中の一つの課題として,「良果率向上によるトマト高品質・多収栽培管理技術の開発および実証」が行われている.研究により明らかとなってきた,多収を示すオランダトマトの特徴の一端と,養液栽培で多収高品質を示す,日本の新品種“鈴玉”の性質についても紹介する.

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研究の紹介:水耕栽培で発生するトルコギキョウ根腐病を防除する~農薬の適用拡大~

佐藤 衛

NFT式循環型水耕栽培トルコギキョウにおいて,アゾキシストロビン・メタラキシルM粒剤の定植後まもなくの株元処理により,根腐病の発生を抑制し,なおかつ栽培終了時の養液で,農薬の登録保留基準値を下回る薬効成分の検出に留まった.2ヵ年の防除効果を確認し,参考資料として養液中の薬効成分濃度を添付し,適用拡大申請を行ったところ,使用上の注意が付され,トルコギキョウ(水耕栽培)の根腐病に適用拡大がなされた.

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研究の紹介:新技術による薬用植物の生産

吉松 嘉代

超高齢社会の日本では、日本独自の医薬品である漢方薬を処方される例が増え、漢方薬市場は急成長している。しかし、漢方薬の原料となる生薬の80.7%は中国産で、日本産はわずか11.7%である。したがって、漢方薬を安心・安全かつ持続的に利用する上で、生薬の国内生産拡大は、緊急の国家的課題である。筆者らは、日本での薬用植物の栽培育成に資するため、新技術による薬用植物の栽培に関連した研究を行ってきた。その概要を紹介する。

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研究の紹介:中山間地域における施設園芸技術の実証研究

太田 祐樹

食料生産地域再生のための先端技術展開事業の「中山間地域における施設園芸技術の実証研究」において実証中の研究課題について、その内容を簡単に紹介する.

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新連載:ホープが語る!未来のハイドロポニックス 地下「環境」に還る

畑 直樹

年齢的にも業績的にも「ホープ」として語るのは甚だ心苦しい限りではあるが、「未来のハイドロポニックス」について、私なりの見解をお示しできれば幸いである。前半は、環境科学部教員としての立場から、環境への寄与について考えていること、後半は、自己紹介を兼ねて、私の研究遍歴から養液栽培の原点について思い至ることについて述べた。

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新製品の紹介:各種機器の日射コントロール『ひかり当盤』

大野 真奈美

トヨタネ㈱はハウス内設備の日射コントロールを可能とする『ひかり当盤』を発売する.ひかり当盤は日射量をもとに,遮光カーテンや潅水機器などの機器を動作させるための信号を出力する.日射量に応じて出力状況が変化するため,天候に合わせて自動的に管理を変えることができる.ひかり当盤の導入により,機器設定の手間を省き,栽培環境の安定化が実現できる.

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新製品の紹介:防藻処理ロックウール カルチャーマット®クリーン

多田 亘児

培地表面の藻類の発生は,栽培環境が不衛生に見えること,コバエの発生を招く恐れがあること,それらが作物を加害もしくは病原菌を媒介する可能性があることから好ましくない.当社では,培地表面の藻類発生を抑制する「カルチャーマットクリーン」を発売した.本商品は,培地表面に撥水加工を施すことで防藻効果を得た.当社で実施した栽培試験では,作物の生育に影響がないことが確認されている.

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連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (9)べと病

渡辺 秀樹

べと病は植物の生きた細胞から栄養を摂取する病原菌であり、養液栽培ではレタス、ホウレンソウ、キュウリ、バラ、カーネーションなどで被害が出る。ここでは、べと病の診断方法、特にホウレンソウのべと病についての伝染還、防除方法について紹介する。

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