日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第27巻 第2号 要約

特集:世界の施設園芸・養液栽培技術最新事情-オランダ・中東編-中東諸国における施設園芸・植物工場について

篠原 温

カタールで行われたビジネスフォーラムでの植物工場の説明では,人工光型植物工場は砂漠でも野菜生産が可能で,新ビジネスとして成立する可能性が高いなど,大いに関心を呼んだ.中東諸国での施設園芸は,水の量・質や,肥料成分の地表への集積を考慮する必要がある,現状では養液栽培は少ないが,将来的には大きく増加する可能性があり,乾燥地は気化熱利用の冷房がよく効くので,大きな可能性を秘めている地域ではないかと考えられる.

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特集:イスラエルの灌水技術最新動向

田川 不二夫

点滴灌水の最新動向-低流量点滴灌水について紹介した。ドリッパーの流量が毎時1L以下では流量が小さいほど横方向の水の広がりが大きくなり、より効率的な灌水施肥ができる。また、土壌養液中の塩類濃度が比較的低く保たれる一方、硝酸体窒素は維持され、作物の生育にも良い影響がある。低流量のため灌水系統数も少なくできるので設備コストも小さくなる。低流量ドリッパーが開発されたことにより、点滴灌水の低流量化が進むものと思われる。

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特集:施設栽培技術先進国 イスラエル-オランダ視察ツアー報告

福田 直也

 当会が企画した海外視察ツアーでは、気候風土が全く異なるイスラエルとオランダの2か国を訪問し、養液栽培・施設園芸技術の見学を行った。いずれの国も不利な気象条件を技術によって補い園芸作物の輸出国となっており、日本で教育研究に携わる筆者が日頃感じている我が国の施設園芸の生産性の向上の課題と対比させ、これからの我が国の施設園芸を「世界」に導くために必要なものを提示するような紀行記となっている。

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特集:最近の施設園芸の状況とその海外展開の可能性

秋葉 一彦

政府が検討している農業の成長戦略の取りまとめに、次世代型施設園芸の推進が盛り込まれた。また、生産から流通まで含めた施設園芸クラスターによる大規模な施設園芸拠点を整備する予算を新たに要求。施設園芸に係るシステムの海外展開に関しては、多品目の多量の研究データが存在すること、人工光型の施設は世界的に先駆けて普及していること等から、多様化する世界各国の園芸作物の需要に対応した栽培システムの輸出に関し、我が国は十分な可能性を持っていると考える。

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事例紹介:(農)大久保園芸40周年を迎えるにあたり

谷野 哲生

 大久保園芸は、昭和49年に7軒の農家により設立された農業生産法人で現在ではそのうちの5軒の後継者が経営を引き継ぎ、周年でみつばを生産している。
 ガラス温室11棟、栽培面積約9000坪でスタートし3度の増設により現在ではガラス温室21棟、栽培面積約15000坪になっている。

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事例紹介:Dトレイ研究会発足 ~第1回研究会開催報告~

安 秀和

 Dトレイ研究会発足にともない、株式会社アームズが日本型小規模生産農家向けに開発したDトレイ栽培システムの紹介と、第1回研究会の報告を本誌行うことで、システムの認知度のアップと、今後の栽培拡大を期待している、トマトやイチゴを中心とした日本の養液栽培農家の皆さんに、こんなに楽で簡単な、美味しい果実を生産出来るシステムがあることを知って頂きたい。

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事例紹介:こだわりのトマトで挑む都市農業

飯田 実

名古屋市中川区の都市部で高糖度ミニトマト(miuトマト)を栽培しており,毎週水曜日に行なう直売は,予約優先.さらに数週間待ちの場合も,収穫の9割をハウス横の直売で販売している.また,6次産業の認定も受け加工品にも取り組んでいる.

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事例紹介:~植物工場紹介シリーズ~
学校法人玉川大学「Future Sci Tech Lab-植物工場・宇宙農場ラボ-」

福田 直也

 植物工場の紹介シリーズとして、今回は玉川大学で開発を進められているLEDを利用した人工光型植物工場をとりあげた。施設内には多段式NFT水耕システムを設置し植物栽培用に開発したダイレクト水冷型ハイパワーLEDパネルを光源として、レタス、サラダナ、イチゴなどの栽培実験を行っている。この工場では赤、青、緑というように波長の特性が異なるLED光源を組み合わせることによって野菜の持つ栄養価や食味などを変化させることに成功した。

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研究の紹介:世界の多様なキュウリの品種とその特性

下村 晃一郎

 キュウリは世界各地で栽培されており,それぞれの地域で大きさ,形,色などの外観だけでなく,食味や食感が異なる様々なキュウリが生産・消費されている.我々は,日本と海外のキュウリ品種を用い,収量と食感(シャキシャキ・パリパリといった食感)について品種間の違いを調査した.世界の多様なキュウリ品種は,生産量・消費量とも減少している日本のキュウリ生産の現状を打開し,消費拡大に役立つ可能性がある.

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研究の紹介:養液栽培資材の抗菌・防藻技術の研究開発

草刈 眞一

養液栽培における資材の抗菌化、特に、発泡スチロールパネル、育苗用ウレタンマット、ロックウール培地について、表面の抗菌防藻化を検討した。銀ゼオライト混合樹脂で処理した発泡スチロールパネル、ケニファイン処理したウレタンマットロックウール培地は、その表面において抗菌化され、藻の付着を抑制した。また、銀ゼオライト処理した発泡スチロールでは、ミツバの根の侵入も抑制された。

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研究の紹介:栽培湿度とバラ切り花の収量・日持ち性 −湿度管理の重要性−

稲本 勝彦

 切り花収穫前の栽培環境と切り花の日持ち性との関係について一連の研究を行ってきた中で、温度の影響について紹介する。温度を昼夜25/20℃とし、相対湿度を60%区と85%区で制御してバラを栽培すると、収量は高湿度区の方が低湿度区と比較して増加した。一方、高湿度では日持ちが悪化することが示された。また、昼間/夜間湿度を60/85%あるいは85/60%に変化させた2区を設けて栽培した。結果、85/60区の収量の方が60/85%区と比較して多くなる傾向があり、昼夜のどちらかが低湿度条件であれば、日持ちが長くなることが示された。

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研究の紹介:ガーベラのCO2施用技術開発への期待感

本間義之,外岡慎,貫井秀樹

『東海CO2』プロジェクトの一環で、ガーベラのCO2施用研究を開始した。1月から3月中旬にかけて、昼間にハウスを密閉して1000ppmの液化炭酸ガスを施用したところ、ガーベラの収量が130~140%に向上した。ただし、密閉したので3月中旬には花が徒長した。今後は徒長させないで増収効果のある施用方法を検討する予定。想定以上の効果に担当者自身も驚いており、生産者の期待感が高まっている。

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連載:オランダトマトの多収化を探る(8)日本品種の変化

東出 忠桐

多収化という視点で日本のトマト品種がどのように変わったかについて述べる。1985年に発表された‘桃太郎’が、それ以前の品種よりも果実収量が低いが、品種の年代の違いによる一定の傾向はみられない。‘桃太郎’および‘桃太郎コルト’を除くと、果実の乾物率と糖度との間には極めて高い相関がみられ、水分含量が低いほど糖度が高い。桃太郎系品種では、それ以外の品種に比べて果実の乾物率あたりの果実糖度が高い。

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新製品の紹介:RooCa(ルーカ) 葉物野菜根切り装置 root cutter

今口 正一

現在水耕栽培における作業のほとんどは自動化されつつある.しかし収穫時の水耕栽培パネルからの根の切り離し作業は人の手により行われている.そこで弊社は水耕栽培パネルから根の切除を目的とした“RooCa”“葉物野菜根切り装置”を開発した.それによって今まで手間のかかってきた作業が簡単で早く出来るようになり、出荷作業に伴う負担を減らすことでより効率のよい野菜生産が可能になった.

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新製品の紹介:簡易設置型養液除菌装置「除菌タン君III号」

亀嶋 哲

 (株)TYKの養液除菌装置「除菌タン君Ⅲ号」はピシウムやフザリウムなどの、培養液を介して伝染する病原菌を効率的かつ簡易的に除去する装置である。栽培比較試験として2つの全く同じ栽培装置を用いて、一方の培養液タンクに除菌タン君Ⅲ号を設置し、各栽培区の培養液にピシウム菌を滴下した。結果、除菌タン君Ⅲ号を設置した栽培区の方が成長は早く、根の状態も健全で菌による腐敗は見られなかった。栽培速度の向上と培養液除菌との関係を明確しさらに効果的な装置の開発に取り組んでいる。

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新製品の紹介:園芸用廃液浄化装置(窒素除去)

納村 和美

 養液栽培により園芸施設から排出される廃液には肥料成分(窒素、リン、カリなど)が含まれており、周辺に水田がある場合はイネの倒伏や収量減などの影響が懸念されるため、園芸施設から排出される前に無害化することが望ましい。この度、弊社ではトマトやイチゴ、バラ栽培などで排出される廃液に含まれる硝酸性窒素をほぼ除去できる廃液浄化装置を開発した。窒素を除去するために投入する有機物には液体脂肪酸を用い、水温を25℃程度に維持することで、安定した窒素除去性能を維持することができる。

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連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (3)青枯病菌

渡辺 秀樹

第3回は、トマト等で被害の多い青枯病菌の発生生態や養液栽培における伝染環、防除対策について紹介する。

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