日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第27巻 第1号 要約

特集:生育特性を生かすこれからの養液栽培

寺林 敏

今号の特集では「生育特性,品種特性を生かした野菜・花卉類の養液栽培」とした.本記事は,その導入として養液栽培のメリットを生かすために今後配慮すべき7項目をあげ,課題と展望を紹介する。

目次へ戻る

特集:桃太郎トマトの生育特性に関する知見

加屋 隆士

「桃太郎」に代表される我国のトマト品種は,良食味であるが収量が少ない.桃太郎系品種の特性からみると,良食味と収量を両立するためには低段密植栽培をめざすべきである.

目次へ戻る

特集:栽培管理に使ってほしい果菜類の生理生態

東出 忠桐

作物が順調に育っている場合、収量は主に光によって決まり、総乾物生産=光利用効率×受光量となる。葉の展開等の作物の反応は平均気温に反応することから、この生理生態を考慮すれば温度管理を発展させることができる。光利用効率は主に品種特性によって決まる。トマトの場合、植物が光合成有効放射1MJ吸収するごとに2~3gの乾物が生産される。キュウリの短期栽培でも光利用効率の高い品種や整枝法において高収量となる。

目次へ戻る

特集:キュウリ等、野菜の自家中毒と品種間差異

浅尾 俊樹

作物が有する自家中毒という特徴について、特にキュウリとイチゴについての知見として、自家中毒の症状、品種間差異、そしてその回避法について紹介する。

目次へ戻る

特集:イチゴの果実品質に及ぼす光・CO2環境と摘果の影響

吉田 裕一

イチゴの果実品質は栽培管理によって大きく影響される。本稿では、光、CO2環境の影響と、摘果、栽植密度の影響について紹介する。

目次へ戻る

特集:採花母枝の日変化特性からみた養液栽培におけるバラの生育

梶原 真二

養液栽培のバラにおいて,採花母枝の日変化特性を歪ゲージ式変位計で測定した.その結果,日肥大が大きかった温度域である昼温25℃/夜温15℃および昼温25℃/夜温20℃では,昼夜温ともにそれ以上,あるいはそれ以下の温度域と比較して,到花日数が短く,切り花本数が大きく,品質が優れた.このことから,採花母枝の日変化特性を歪ゲージ式変位計で測定することによって,短期間に生育適温を判定できる可能性が見出された.

目次へ戻る

事例紹介:パプリカ生産「株式会社 Tedy」

福田 直也

パプリカの国内市場は輸入品によって占有されている実情にある中、国内で積極的にパプリカ生産を行っている水戸市にある大規模施設の取り組みについてい紹介する。

目次へ戻る

事例紹介:パソナグループ本部 アーバンファームの取り組み

板見 さやか

総合人材サービスを展開するパソナグループでは農業関連の人材育成事業などを展開しているが、その取組の一つとして2010年に、本社オフィス内に人工環境下で野菜や花などを育てる「パソナグループ本部・アーバンファーム」を設立した。施設の目的や、人工光源や灌水など植栽関連の設備の概要、今後の施設運営の展望などについて記載した。

目次へ戻る

事例紹介:テクモアファームにおける養液栽培の取り組み

関 俊之

テクモアファームは大型ハウス2棟で四季成りいちごの養液栽培に取り組んでいる。1年間の試験栽培を経て果実品種の優れた「カムイレッド」と「あましずく(品種登録中)」の2品種を栽培品種としている。栽培は、断熱性の高い発泡スチロールのベットで根の分布を広げ、地温抑制効果のある白黒マルチ資材で覆い収量・品質の向上を図っている。ハウスは温度・湿度の急激な変化が少ない軒高ハウスにし、保温カーテン・遮光カーテン・暖房機・温湯機・循環扇・電照設備・給液システム・天窓巻上げなど備えている。

目次へ戻る

連載:オランダトマトの多収化を探る(7)多収化のためにできること

東出 忠桐

多収化のために受光量を増やすには、施設内に入る光を増やすことが重要である。初期の受光量を決めるのは栽植密度である。高温管理により葉数が増え、早期の受光量を増やすことができる。光利用効率を上げるのは簡単でなく、品種選定によってほぼ決まる。光利用効率を上げる手段として、普及している唯一の方法がCO2施用である。多収化には、長期栽培では品種選定やCO2施用による光利用効率の向上の影響が大きいが、短期栽培では栽培期間に適合した密度で受光量増加を図ることが重要である。

目次へ戻る

研究の紹介:ICT利活用による養液土耕システムの開発
<M2Mクラウド技術により,親子の絆を復活し,親の経験と勘を子に伝承する仕組み作りを!!>

佐々木伸一、小沢聖

農業分野へのICTの関与は、近年植物工場がクローズアップされているが、初期投資が大きくその回収モデルをどうするか、中山間地域が多い日本の国土での普及には時間がかかると思われる。しかしながら、農村の過疎化、高齢化、環境問題は待った無しの状況である。成長戦略で重要視されている農業所得倍増計画を速やかに実行する手法として、既存施設に最小限の投資で省力化と収量アップが期待できる、クラウド利用のICT養液土耕システムを紹介する。

目次へ戻る

研究の紹介:トルコギキョウ切り花の水耕栽培への挑戦

福田 直子

高品質なトルコギキョウ切り花を生産するためには深い作土と十分な根張りが必要で、生育の後半は灌水量を減らして「水を切る」のが常識とされてきた。また、連作障害が発生しやすいために土壌消毒が不可欠なこと等、地下部環境が切り花の品質や生産の安定性を大きく規定している。このような現状に対して効率的に高品質な切り花を生産しうるシステムとして、水耕での栽培試験を開始したことを紹介する。

目次へ戻る

研究の紹介:ミニパプリカの適正な着果数について

田島 嘉存

パプリカの中にはミニパプリカと呼ばれる小型の品種がある.このようなパプリカ品種には果実サイズは小さいが非常に肉厚のものや良食味のものもあり,しかも食べきりサイズであるため,今後の需要増加が期待できる.しかし,ミニパプリカについての研究例は少なく,その栽培方法は十分に検討されていない.そこで主枝に加え側枝への着果による収量への影響を調査し,ミニパプリカに適した栽培方法を検討し,安定生産に必要な着果数,葉果比などを明らかにした.

目次へ戻る

研究の紹介:トマトの長期多段どり養液栽培における品種・系統比較試験からみた高糖度・多収性育種の可能性

松永 啓

トマトのオランダの多収品種、日本の品種および野菜茶業研究所で育成中の育成系統の特性の違いを明らかにするための品種比較試験を、7月播種の長期多段どり養液栽培で実施した。その結果、収量はオランダの多収品種が多く、果実糖度は日本の品種が高かった。一方、育成系統は収量性はオランダの品種の「富丸ムーチョ」と同等で、果実糖度は日本の品種の「桃太郎ヨーク」、「麗容」と同等で、収量性および糖度が優れていた。今後、このように優れた育成系統間で作出されたF1から、より収量性および糖度の優れた品種が育成されることが期待される。

目次へ戻る

新製品の紹介:ペレミックス社養液栽培用ヤシ殻培地

Roy Peleg (ロイ・ペレグ)

ペレミックス社の養液栽培用ヤシ殻培地について紹介する.ペレミックス社のヤシ殻培地は,徹底した品質管理と工程管理の下に生産される.篩い分けを二工程に分け,微細粒子をほぼ完全に除去すると共に分画サイズを揃え,これらを多様にブレンドし、様々な環境条件や作物に応じた多種タイプの培地を取り揃える.テイラーメード生産も可能で,作物の健全な生育と生産者の満足を約束する,高品質な有機培地である.

目次へ戻る

新製品の紹介:フィリップスの植物育成用LED

魯 娜

フィリップスが開発した植物育成用LED「グリーンパワーLEDプラダクションモジュール」について、光の最適化や光強度の最適化を行った経緯と、フィールドテストでの実証結果について紹介する。

目次へ戻る

新製品の紹介:ヤシガラ培地隔離システム「ココフィールド」

岩村 頼通

「ココフィールド」はオリジナルのココ培地を使った、隔離栽培システムで多品目の作物栽培に適応可能である。ベッドの構造は発泡スチロール架台に培地を乗せる「スタンダード」、それらを直管パイプ架台に乗せる「ベンチアップ」の2通りがあり、培地は粒の大きさの異なる「ベーシックプラス」と「ユーロプラス」の2種類が選択できる。培地の性能を活かすために、きめ細かい給液管理が可能な制御盤「アクアビート」給液ユニット「MGI500」の使用が適する。

目次へ戻る

連載:養液栽培で発生する病気の基礎知識 (2)フザリウム菌

渡辺 秀樹

第2回は、多くの品目で被害の多いフザリウム菌の発生生態や養液栽培における伝染環、防除対策について紹介する。

目次へ戻る

このページの先頭に戻る

このウィンドウを閉じる