日本養液栽培研究会 | Hydroponic Society of Japan

ハイドロポニックス 第23巻 第1号 要約

巻頭言:ものの見方

深山陽子

養液栽培の方式や栽培作物が多様化しており,細かい技術に関することとなると共通の研究テーマがみつけにくくなっている.しかし,多様化していることは研究会にとっては,むしろいろんなものの見方ができるという面で有利でないだろうか.是非,本研究会に多くの方に参加していただき,活発な意見交換がされるよう願いたい.

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内外のニュース:第64回日本養液栽培研究会東京大会・09年度総会について

塚越覚

平成21年5月21日に,第64回日本養液栽培研究会・東京大会が,キャンパスイノベーションセンター(東京・田町)で,09年度総会とあわせて開催された.大会には72名が参加した.今大会から初の試みとして,午前中には養液栽培の基礎に関する講義と,肥料計算ソフトの使い方講習会も開催した.また,大会にはポスター発表も取り入れた.

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内外のニュース:農研機構シンポジウム「地域資源活用による低コスト・省エネを目指した施設園芸生産の新たなる展開」

木下貴文

2009年3月17日~18日に高松市において,農研機構シンポジウム「地域資源活用による低コスト・省エネを目指した施設園芸生産の新たなる展開」が開催された.シンポジウムでは,施設園芸における国内外の動き,低コスト・省エネに直結する技術開発,およびそれらを支援する農政の流れなどについて,基調講演と招へい講演が行われた.さらに,現在最前線で技術開発に取り組んでいる研究者からの一般講演やパネルディスカッション等が行われた.

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内外のニュース:園芸学会平成21年度春季大会

岡准慈

園芸学会平成21年度春季大会が,2009年3月19日から20日にかけて,明治大学駿河台キャンパスで開催された.野菜分野では,「防水吸水ひも」を用いたトマト栽培に関する発表が多かった.他に高糖度トマトやGABAの蓄積,イチゴ新品種における培養液管理の発表が見られた.トマトの品種特性や光合成産物の転流に関する発表も多かった.花きでは,バラのロックウール栽培における台木の特性や,ヒートポンプの冷房効果について報告がなされた.

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内外のニュース:「養液栽培出張講習会(出前講義)」~兵庫県ハウストマト研究会編~

竹川昌宏

平成21年3月27日に,京都府立大学の寺林先生に出前講義をしていただいた.参加人数は約30人で,肥料コストの低減のための単肥の計算方法や,量的管理方法,生理障害について,わかりやすい講義がなされた.

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内外のニュース:「第1回アジア国際園芸学会議」~The first Asian Horticultural Congress(AHC2008)~

伊藤善一

2008年12月11日から13日まで,韓国の済州島において,第1回アジア国際園芸学会議が開催された.参加者は約800名で,中国,韓国,日本から多数の研究者が発表された.養液栽培に関連した発表は少なかったが,千葉大学の篠原先生からはスーパーホルトプロジェクトの紹介もあり,日本の施設園芸に対する取り組みを海外の方々に知ってもらう良い機会となった.

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事例紹介:北海道における夏秋期を中心としたイチゴの周年栽培への取り組み

杉山淳哉

(有)アージュは北海道の夏期の冷涼な気候を利用して,夏秋期を中心としに周年でイチゴを生産する農業生産法人である.ニーズや経営に合わせさまざまな試行錯誤を繰り返し,ようやく軌道にのり,成果を上げることができるようになった.今までアージュが行ってきたこと,今後目標としていることなどを挙げてみた.参考にしていただけることが何か一つでもあれば,幸いである.

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研究の紹介:カンキツの新しい栽培技術「マルドリ方式」の開発と普及

島崎昌彦

独立行政法人・農研機構・近畿中国四国農業研究センターでは,シートマルチと点滴かん水を組み合わせた,カンキツの新しい栽培技術「マルドリ方式」を開発した.露地でのカンキツを対象とした養液土耕栽培に近いものであり,果実の高品質化を始め,多くの効果が認められる.全国のカンキツ産地で普及が拡大しつつあり,当センターでは,さらに技術を高度化するための検討を行っている.

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研究の紹介:バラの株元加温技術の開発

原靖英

バラのアーチング仕立てにおいて,出芽,伸長,採花を繰り返す株元に温湯パイプを配し,その中に暖めた水を通すことにより,局所的に効率よく暖める「バラの株元加温システム」を開発した.これにより,重油使用量の削減,生産性や切り花品質の向上等が期待できる.現在,生産者ほ場で利用できる実用的技術の確立を目指して,現在研究に取り組んでいる.

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連載:ブルーベリー「アクアポット栽培」を核にした広域連携型ビジネスモデルの展開II 異業種参入編

嶋本久二

長崎県佐世保市の総合建設業㈱堀内組が,ブルーベリービジネスに参入した.農業生産法人の設立や,アクアポット栽培の導入経緯,ブルーベリーの販売や加工品の開発について積極的に事業展開を行い,新しいブルーベリー産地の形成によって地域産業に貢献している.

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新製品紹介:新型定量ポンプ(チューブポンプ)を利用した液肥混入装置

小林秀俊

精度の高いチューブ式定量ポンプを組みこんだ,流量比例式の液肥混入装置を発売した.構造が簡単なために故障が少なく,メンテナンスと取り扱いが簡単で,装置を小型化できる特徴がある.ここでは,新しく開発したFRP型液肥混入装置とFC型養液コントロール装置の紹介を行う.

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新製品紹介:総合環境制御システム「マキシマイザー」

斉藤章

マキシマイザーは,オランダの環境制御機器メーカープリバ社が開発したコンピュータによるハウス内環境の総合的環境制御システムである.システムは,マキシマイザー本体,各種センサーとウインドウズ上で動作する管理ソフトのプリバオフィスで構成されている.弊社では,ハード(マキシマイザー)とソフト(環境制御技術)の両方を提供し日本の施設園芸生産者の生産性の改善に注力していきたいと考えている.

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新製品紹介:農業生産現場で役立つ本格派オゾン水生成装置

坂田訓章

Reduce・Reuse・Recycleの3つの研究開発キーワードのもと,人と自然のやさしい関係づくりを目指した企業である.本稿では,循環トイレを研究開発していく中で熟成したオゾン水生成装置を農業生産現場で利用するために開発した「オゾン水生成装置HOW」について紹介している.その特徴として,1)高濃度,大流量で,なおかつコンパクト,2)イニシャルコストが安い,3)ランニングコストが安い,4)オゾンガスの気散が少ないがあり,2ppm以上の高濃度で日量2.4t以上生成できる.現在は培養液殺菌技術の確立に向けた研究開発を行っており,養液栽培現場への普及を目指している.

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特集:トマトの養液栽培用品種の開発で総合力の向上を

糠谷明

我が国の施設園芸や養液栽培に関する「総合力」を考えると,個々のパーツとしては世界の中でもトップレベルの技術力があるが,総合力としての作物生産技術は海外よりも遅れていることが多い.日本の施設園芸や養液栽培の総合力を高めるために,養液栽培用品種の現状や求められる特性,品種開発の今後について解説する.

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特集:養液栽培におすすめの品種

福永寛

養液栽培におすすめの品種を用途別に3品種紹介.「CF桃太郎ヨーク」は,短期栽培に最適な品種.短節間で着果がよく,肥大にも優れるため短期多収が期待できる.「CF桃太郎はるか」は,長期栽培に最適な品種.低温・少日照下の栽培でも果実の肥大が安定する.一般的な品種に比べて最低気温を低めに設定できるため,暖房費の負担も軽減できる.「CF桃太郎ファイト」は,高品質トマトの生産に最適な品種.桃太郎シリーズのなかでも最も糖度が高く食味に優れるため,高糖度栽培でその特性を最もよく発揮する.

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特集:トマト王国オランダ(Tomato land Holland)の現状

John de Varies

オランダのトマト生産の現状について,輸出と輸入,トマト品種の動向,ヨーロッパ他国の現状,生産システム,市場の動向について解説する.

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特集:トマト多収性に関するSHPの取り組みと野菜茶業研究所における多収性育種について

松永啓

スーパーホルトプロジェクト(Super Hort Project; SHP)では,糖度(Brix) 6%以上のトマトを年間50t/10a以上収穫できるように産官学が連携して研究に取り組んでいる.ここでは,SHP品種部門での取組と野菜茶研で実施している養液栽培に適したトマト多収性育種研究の現状を紹介する.

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特集:低段密植・養液栽培用心止まり性トマトの育成~新たなトマト生産づくりに向けて~

山田圭太

トマトの低段密植栽培は近年注目されているが,一般的な土耕栽培用品種を用いているために,低段密植・養液栽培に適した品種開発が望まれている.ここでは,JA全農と(独)東北農業研究センターが開発した,摘心・脇芽かきの省力化と固定種により種子代の軽減がはかれる新品種である「盛平系統」について紹介する.

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特集:オランダの消費者と生産者をつなぐ双方向情報発信の取組み「Tomato world」

田原哲

トマトを中心とした生産者・消費者双方向の情報発信施設「Tomato world」について紹介する.施設入り口には,幅広い分野の会社・団体名が協賛しており,プロの農家から一般の消費者まで幅広い分野の見学者が訪問している.トマト生産エリアには種子会社がら無償提供された140種類のトマトが栽培されており,一部の品種は展示エリアで試食できる.他にも,パブリカ,キュウリ,ナスなどの野菜も栽培されている.他にも養液栽培装置や大型発電機も展示されており,トマト栽培すべての魅力を伝えることで注目を集めている.

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連載:培養液分析デ-タを活用しよう(その4)培養液中の成分を単肥で補正する2

塚越覚

原水に肥料となるイオンが数種含まれ,重炭酸濃度も高い場合に,酸として加わる成分や原水中の成分を考慮して,組成の乱れた培養液を補正するための処方箋を作るには,どのような計算が必要かを,補正の流れにしたがって,ポイントをまとめて解説する.

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質疑応答:「養液栽培を行うときに,温室内の湿度調節を実施する際の考え方や方法がよくわかりませんので,教えてください」

高市益行

温室内の湿度調節の一般的な考え方,養液栽培での湿度環境の特徴について解説した.

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書評:活性炭の農業利用 土壌浄化の新技術

岡准慈

農業分野における活性炭の研究は,ミツバの水耕栽培における有機酸除去から始まっている.本書では,活性炭の定義と製造法や木炭との違い,アレロパシー物質または有害化学物質の吸着方法など,最新のデーターが詳細に記述されている.活性炭は,原料や製造方法によって吸着できる物質が異なるために,農業分野で使用する場合には,目標物質の吸着に有効な活性炭を利用する必要がある.

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